第22回企画展 四國五郎展~シベリアからヒロシマへ~

 

 

 

近年、詩画人四國五郎の再評価が進んでいる。シベリア抑留を経験し、その間に原爆で弟を失った四國五郎は、故郷広島に帰還したのち、峠三吉らと反戦文化運動に詩画人として身を投じ、『原爆詩集』の表紙絵・挿絵、街頭に展示される辻詩の絵画部分、数々のサークル誌の表紙絵・挿絵などを描き続けた。

市民のなかで市民のために描き続けた四國五郎は、反戦平和を主題とする作品を描き続ける一方、1974年に広島で「市民が描いた原爆の絵」を集める運動が始まった際には、市民に自らの被爆体験を描く方法を示唆する役割を果たし、その高揚を支えた。最近では、シベリア抑留体験に基づく絵日記(『わが青春の記録』)が復刻され、シベリア抑留体験を描いた後年の作品が注目を集めてもいる。

画文集『広島百橋』の著者でもある四國五郎は、広島では広く親しまれている存在ではあるものの、全国的には『絵本 おこりじぞう』の画家として記憶されているにとどまるかもしれない。しかし、シベリア抑留体験や被爆体験を描いた画家として、また、詩と絵画をもって深く社会運動と関わった詩画人として、さらには市民のなかで市民のために描き続けた画家として、急速に再評価が進んでいる。そのような四國五郎に対する関心は、故郷広島はもちろんのこと、東京などでも高まっているが、残念ながら関西での反応は弱く、作品に触れる機会も少ない。

そこで、四國五郎の再評価を担ってきた研究者の研究成果を結集するかたちで、関西初の四國五郎展を開催し、四國五郎再評価の動向を集大成する機会としたい。

 

会 期:2019年4月26日(金)~ 7月20日(土)10時30分~17時(入館は16時30分まで)

日曜・祝日休館(ただし、5月2日(木)、5月3日(金)、5月19日(日)は開館)

会 場:大阪大学総合学術博物館 待兼山修学館 ※入場無料

 

主 催:大阪大学共創機構社学共創本部/総合学術博物館、豊中市

共 催:豊中市市民ホール指定管理者、大阪大学大学院文学研究科

協 力:かんさい・大学ミュージアム連携、北大阪ミュージアム・ネットワーク、大阪大学21世紀懐徳堂

 

展覧会構成と主な展示作品

第1章 シベリア抑留体験と表現

・ナホトカ人物スケッチ(1947~48年、鉛筆、紙)

・わが青春の記録(1949~1950年、冊子)

 

 

 

 

 

 

 

 

・フルムリ地区107分所1946年2月伐採作業         (1997年、油彩、キャンバス)

 

 

 

第2章 被爆地ヒロシマの反戦文化運動

・辻詩 なぜに(1950年頃、コラージュ、紙)

・われらの詩(1949~53年、冊子)

・峠三吉像(1977年、油彩、キャンバス)

 

 

 

 

 

 

 

・辻詩 巷にて(1950年頃、水彩、紙)

 

 

 

 

第3章 反戦平和のために

・鳩と少女(1963年、油彩、キャンバス)

・黒い雨(1984年、油彩、キャンバス)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・ヴェトナムの母子(1965年、油彩、キャンバス)

 

 

 

第4章 被爆体験を描く/ひろしまを描く

・絵本 おこりじぞう 原画(1979年)

・自画像(1967年、油彩、板)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・相生橋(1984年、油彩、キャンバス)

 

 

関連企画

国際シンポジウム 詩画人四國五郎の歩んだ道~シベリアからヒロシマへ~

日 時:2019年5月19日(日)13時~16時30分

会 場:大阪大学会館アセンブリーホール ※入場無料,事前申込不要(先着順)

登壇者:アン・シェリフ(オーバリン大学教授)

川口隆行(広島大学准教授)

岡村幸宣(原爆の図丸木美術館学芸員)

小沢節子(近現代史研究者)

 

※シンポジウム当日は、総合学術博物館待兼山修学館が臨時開館いたしますので、展示をご覧いただくことができます。なお、シンポジウムは、総合学術博物館待兼山修学館から徒歩5分の大阪大学会館で開催されますので、ご注意ください。

 

講演と朗読         四國五郎と『絵本 おこりじぞう』

日 時:2019年6月22日(土)14時~15時30分

会 場:豊中市立文化芸術センター多目的室

〒561-0802 豊中市曽根東町3-7-2 tel.06-6864-5000

(10:00~19:00)

(阪急電鉄宝塚線・曽根駅より徒歩約5分)

内 容:講演「四國五郎と峠三吉」宇野田尚哉(大阪大学教授)

朗読『おこりじぞう』木内みどり(俳優)

対談「四國五郎を語る」木内みどり×四國光(四國五郎・長男)

 

【応募方法】

電子メールもしくは往復ハガキにてお申し込み願います。

複数名でお申し込みの場合、同伴者全員の情報をご記入ください。

応募者多数の場合は抽選を行います。

※応募締切:6月5日(水)必着 ※入場無料

 

《電子メール》

豊中市ホームページよりお申し込みください。

《往復ハガキ》

往信面に住所、氏名、連絡が取りやすい電話番号または携帯番号、年齢を、

返信宛名面に住所・氏名を明記の上、下記までお送りください。

 

【〒561-8501 豊中市中桜塚3-1-1 豊中市都市活力部文化芸術課 四國五郎展係】

 

※「講演と朗読 四國五郎と『絵本 おこりじぞう』」についてのお問い合わせ

豊中市都市活力部文化芸術課 tel.06-6858-2551

『絵本おこりじぞう』原画展ー詩画人四國五郎からのメッセージ

日  時:2019年6月21日(金)~ 6月27日(木) ※24日(月)は休館

会 場:豊中市立文化芸術センター特別展示室

※入場無料

 

 

 

 

 

 

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