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サルからヒトへの人間科学
―「からだ」と「こころ」の進化―


人間科学研究科 行動生態学講座
熊倉博雄 中道正之 中野良彦
ニホンザルの社会と行動

ニホンザルの社会

ニホンザルは集団で暮らしています。集団の中には、少数のおとなのオスとたくさんのおとなのメスとその子どもたちが一緒になって暮らしています。オスは生まれ育った集団をおとなになるころに出て行きますが、メスは産まれた集団で母や娘、姉妹らと親密な関係を保ちながら、生涯を送ります。

私たちは、勝山ニホンザル集団(岡山県)で生まれたサルたちの生涯を追いかけて、記録しています。

  
毛づくろい

毛づくろいはスキンシップとして重要な行動です。シラミの卵を取って毛並みを清潔に保つためにも役立ちます。
母と子―「育つ」「育てる」―

出産!赤ちゃんの顔が出てきた瞬間。ほとんどのサルの赤ちゃんは夜、生まれます。この写真は、珍しい昼間出産のときに撮影されました。サルの出産は静かに行われます。母ザルも赤ちゃんも声を出しません。
サルの赤ちゃんは生まれたときから握る力を持っています。だから、赤ちゃんは母ザルのお腹にしがみつけます。生後1ヶ月を過ぎる頃から、母ザルの背中に乗って運ばれるようになります。
「仲間」との関わり

サルの子どもたちにとって、遊びはとても大切な行動です。「追いかけっこ」や「レスリング遊び」をしながら身体を鍛え、そして、サル社会の約束事を覚えていきます。遊びは大切な社会勉強なのです。
大阪大学総合学術博物館 第2回企画展 「ジグソーのピースを探して」 INDEX