大阪大学の源流「懐徳堂」は、享保9年(1724)、大坂町人によって設立された学問所です。明治2年(1869)の廃校まで約140年間、大坂における知のネットワークの拠点として大きな役割を果たしました。この間、懐徳堂では、中国の儒教(朱子学)を中心とした高度な教育研究を進め、また、柔軟で自由な学風の中から、豊かな知的世界が生み出されました。中井履軒が作成した天体模型はその代表的な知的遺産です。ここでは、電子情報とレプリカなどの複合展示により、懐徳堂の知の宇宙を御紹介します。
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バーチャル懐徳堂 |
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大阪大学は、創立70周年記念事業(2001年)の一環として、懐徳堂デジタルコンテンツを製作しました。旧懐徳堂の建物をコンピュータグラフィクスによって再現した「バーチャル懐徳堂」、貴重資料の画像と解説を収録した
「懐徳堂データベース」、懐徳堂の設立を影絵で再現した「懐徳堂物語」などで構成されています。簡単なマウス操作で、懐徳堂の世界を探索することができます。 |
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懐徳堂文庫電子図書目録 |
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懐徳堂の貴重資料は、(財)懐徳堂記念会の収集整理を経て、現在、大阪大学に懐徳堂文庫として保管されています。
約5万点にのぼる貴重資料を検索するために製作されたのが、「懐徳堂文庫電子図書目録」です。
昭和51年に刊行された『懐徳堂文庫図書目録』全頁を画像データとしてweb上に公開し(http://kaitokudo.jp/)、現在、懐徳堂研究会メンバーによって、目録の訂正や追加作業が、このweb上で進められています。 |
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天 図(てんず) |
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中井履軒は懐徳堂で最も多くの業績を残した学者です。履軒の学問は、漢学を中心としながらも広範な領域にわたっています。
天図は、履軒が製作した天体模型で、回転軸は地球に置かれていますが、図の中心には太陽が描かれ、太陽系の考え方が導入されています。地球のまわりを天体が動くと多くの人が信じていた頃、この図には、すでに天道説と地動説を折衷するような宇宙観が現れています。 |
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紙製深衣(かみせしんい) |
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中国の文人は、どのような服を着ていたのか。諸外国との交流をほとんど持たなかった江戸時代の学者たちは、書物に記された文字情報だけを頼りに、中国の文化を吸収してきました。紙製深衣は、懐徳堂を代表する学者・中井履軒が紙を使って復元した中国文人の普段着です。図や模型によって文字情報を確認する、履軒の実証主義的精神が現れた資料です。 |
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