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人と人をむすぶ音楽


21世紀COEプログラム「インターフェイスの人文学」
山口 修(文学研究科)
音楽の現場は人と人をむすびつける。
そこへ音楽学者が入り込むとき、新しい人間関係が
できて音楽がさらに活性化して、もうひとつ別の
時空間が展開する。
諸民族の音楽を訪ねるフィールドワーク、演奏の仕組や社会的・歴史的背景を調べる民族音楽学、街に出て「社会から学び社会へ還元する」応用音楽学が阪大音楽学の特徴の一つ。
ミクロネシア離島エウリピック環礁島にて

 生まれて初めて自分たちの録音された歌に聴き入る夫婦、子ども、親類。約10年後にはカセットで自ら録音したり、外来の音楽を楽しむようになる。腰布が本来の姿だが、よその島を真似た腰蓑が大きな社会変化を予告している。
山口修撮影、1965年12月。


パプアニューギニア東セピック州マリ社会の
祭礼踊シングシング
客を歓迎する祭礼は、盆踊りにも似た反時計まわりの円舞が特徴。腰蓑やボディペインティングが正装だが、ジャングル奥地にも外来文化が押し寄せている。阪大創立50周年(1981)記念事業は全学部と1研究所による10チーム編成で実施。山口班は国立芸術学校等と連携。音楽や舞踊の種目、楽器の製作工程、社会風習などを記録。その方法は現地側共同研究員と相談してきめ、機材の操作も覚えてもらった。成果はパプアニューギニア学研究所および阪大博物館に保管。
共同研究者トーマス・ワエキ撮影。中央背後に山口。1985年12月。

北部ベトナムの少数民族タイー社会にて
フィールドワークしながら映像記録化の日越相互訓練
宴の準備を映像で記録するベトナム人研究者3名(カメラ2、ライト1)、そして注意事項を確認する日本人講師・通訳。やがて音楽が始まる。交流の現場を記録したビデオ等は将来映像データベースに組み込まれ、現地を含め広く活用される予定。トゥエンクワン省イェンソン県フンロイ村コック集落にて芹澤秀近撮影、2002年10月1日。
大阪大学総合学術博物館 第2回企画展 「ジグソーのピースを探して」 INDEX