地球(19)

分子が主役の化学反応も姿と個性で左右される


笠井 俊夫、 大山 浩、 岡田 美智雄、 蔡 徳七 (理学研究科 化学専攻)
分子には形があるので反応は多種多様に進みます

いろいろな方向から衝突するので、いろいろな生成物が生まれます。これを、反応における「立体効果」といいます。
例えば、ベンゼンと硝酸がいろいろな方向から反応すると、オルト型、メタ型、パラ型が混ざってできます。
どうすれば分子の方向をそろえることができるのでしょうか?

真空中で、分子の流れを断面が六角形の特殊な電場に通すと、シュタルク効果と呼ばれる作用で方向がそろった分子ができます。私たちは六角形を多く束ねて蜂の巣状にした「ハニカム型配向分子ビーム法」を開発しました。
分子の方向をそろえて反応中の電子の様子を調べる

臭化メタンとアルゴンが衝突すると「イオン化」と「解離」の二通りの反応が進みます(反応分岐)。私たちは、分子の方向をコントロールすると反応を制御することができることを発見しました。
立体反応ダイナミクス研究

分子の方向をそろえて反応の様子を調べる研究を「立体反応ダイナミクス」研究と呼びます。この方法を用いると固体表面エッチングなど次世代の電子素子を作り出すことが可能になり、人類に貢献することができます。
大阪大学総合学術博物館 設立記念展 「いま阪大で何が? - 人間・地球・物質」 INDEX