大阪大学総合学術博物館創立10周年記念 文化財公開シンポジウム
奈良の大仏はなぜ"若くみえる"のか?
−美術史、化学、修復からみた金銅仏の最新研究−

概要
 地球上で最も大きな金属の鋳造物としてユネスコ世界遺産に登録される東大寺の大仏像は、造立から1200年以上も経た現在でも像表面はもろくなっておらず、銅の酸化が深い層までそんなに進行していないという事実に驚かされます。これは、湿度の多い日本の気候のもとでの自然酸化の現代科学知識をしてもまったく不思議なことです。「大仏がなぜ若く見えるのか?」のなぞ解きは、大阪大学産業科学研究所へ短期来日したRui Lobo教授(ルイ・ロボ教授、New University of Lisbon、ポルトガル)と笠井俊夫名誉教授との共同研究における議論に端を発し、SPring-8における銅金合金の表面酸化反応に関する共同研究を基礎にしながら、美術史の専門家の助言も得て、今回、イタリアアカデミー(Accademimia dei Lincei:アッカデーミア・デイ・リンチェイ:山猫学会、17世紀創設)の会誌 Rendiconti Lincei - Scienze Fisiche e Naturali Vol. 24 (2012) (物理科学系の学術雑誌で、ガリレオ・ガリレイが彼の論文を投稿した会誌)の6月号に掲載されました。この大仏についての文化財科学の新知見をもとに、仏教美術を専攻する美術史の専門家と、美術院国宝修理所で数々の金銅仏を修復した仏師をむかえ、それぞれの立場から金銅仏研究の最先端を紹介し、金銅仏の魅力と謎についての文化財公開シンポジウムを開催します。

文化財公開シンポジウムについて
日時:平成24年9月8日(土)第1部(講演)13時30分〜
             第2部(対談)15時15分〜
    第1部 講演
      講演1 「美術史の眼−金銅仏研究の現在−」藤岡 穣
      講演2 「化学から大仏の謎を解く」笠井俊夫
      講演3 「私の修復した金銅仏たち
           −薬師寺、蟹満寺、東大寺八角燈籠−」八坂寿史
    第2部 対談 藤岡 穣・笠井俊夫・八坂寿史
場所:大阪大学会館・講堂
主催:大阪大学総合学術博物館
共催:大阪大学大学院文学研究科
協力:大阪大学21世紀懐徳堂
定員:200名
ライブ配信:当日13:25頃よりhttp://www.ustream.tv/channel/moutvにてライブ配信予定です。
参加費:無料
参加方法:1)お名前 2)ご職業 3)E-mailアドレスまたはFAX番号を明記の上、件名【10周年記念シンポジウム参加希望】として、8月31日(金)までにoubo[アットマーク]museum.osaka-u.ac.jp ([アットマーク]は、@に置き換えてください)またはFAX(06-6850-6049)でお申込み下さい。定員になれば締め切ります。定員オーバーの場合のみ、ご連絡いたします。あしからずご了承ください。

講師略歴
講演1 藤岡 穣(ふじおか ゆたか) 大阪大学大学院文学研究科教授(日本東洋美術史)
「美術史の眼−金銅仏研究の現在−」
略歴
1962年生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科修士課程修了(日本・東洋美術史専攻)。大阪市立美術館学芸員、大阪大学文学研究科助教授を経て現職。研究分野は東アジアの仏教彫刻史。2009年より「科学的調査に基づく半跏思惟像の日韓共同研究」プロジェクトの研究代表者をつとめ、半跏思惟像を中心に東アジアの金銅仏の科学的調査(蛍光X線分析、X線透過撮影、3次元計測ほか)を実施している。

講演2 笠井俊夫(かさいとしお) 大阪大学名誉教授
「化学から大仏の謎を解く」
略歴
1946年生まれ。1979年大阪大学理学博士。その後米国ワシントン大学/ライス大学博士研究員、1982年大阪大学理学部助手。1995年大阪大学理学部教授、2010年大阪大学名誉教授/国立台湾大学客座教授。2012年放送大学客員教授。専門は反応物理化学とくに反応立体ダイナミクスの基礎研究。エネルギー、大気化学、地球環境、文化遺産の保全などのさまざまな問題を化学の力で解決することを研究目標にしている。2004年Stereodynamics国際学会を主催。

講演3 八坂寿史(やさかひさし) 財団法人 美術院国宝修理所 主任技師
「私の修復した金銅仏たち−薬師寺、蟹満寺、東大寺八角燈籠−」
略歴
1955年生まれ、滋賀県出身。昭和55年に、岡倉天心創設の美術院国宝修理所に入所し、仏像を中心に古文化財の保存修理に携わって現在三十三年目。東大寺南大門仁王像や唐招提寺金堂諸仏などの木彫仏の修復に携わったほか、平成7年より今日まで、薬師寺講堂安置重文薬師三尊像(現、弥勒三尊)、東大寺大仏殿前国宝八角燈籠、京都府蟹満寺国宝釈迦如来坐像など、奈良時代の大型銅製文化財の保存修理を連続して担当した。

本件に関する問い合わせ先
  大阪大学広報・社学連携オフィス
  社学連携課社学連携第一係 (総合学術博物館担当)
  Tel:06-6850-6715 Fax:06-6850-6720

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