日時/2002年10月12日(土)13時30分~15時30分
講演者/金森 順次郎
会場/大阪歴史博物館4階講堂
主催/大阪大学総合学術博物館
共催/大阪歴史博物館
16世紀から17世紀にかけてガリレオやニュートンで代表される人たちが、思想上の葛藤を乗り越えて自然科学の基礎を築いた。日本の場合は、18世紀に大阪の地で懐徳堂が、自然科学への思想上の準備をある程度整えた。また懐徳堂の庇護を受けた麻田剛立は、実験観測を思考の基本として、真の自然科学者の域に達していた。実際に麻田から伊能忠敬に至る科学者たちの事績は独創的な自然科学研究の芽ばえを示している。一方、麻田の援助を受けて橋本宗吉が始めた大阪の蘭学は19世紀の緒方洪庵の適塾で頂点に達した。蘭学は独創的な研究の域に達しなかったが、適塾生であった福沢諭吉の後年の思想活動は、自然科学の普及発展に大きく寄与した。その後1931年の大阪帝国大学創設は、再び大阪から日本の自然科学の幾つかの新しい発展が生れるきっかけとなった。講演では3世紀にわたる大阪の自然科学の伝統とその意義を解説したい。
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