将来構想

 2002年に当館が総合学術博物館として発足し、2022年で設立20周年を迎えます。発足当時は組織のみで、独自の建物を持っておらず、イ号館(現 大阪大学会館)での常設展示、待兼山修学館(旧 医療技術短期大学部本館)での史料準備館などを整備し、主に学外での企画展示を中心に展示活動を行ってまいりました。その後2007年8月より全面改装した待兼山修学館展示場で常設展示を開始し、企画展、特別展や、ミュージアムレクチャー、サイエンスカフェなどの各種イベントも精力的に開催しています。

 設立から20年がたち、社会状況はもちろん、大学や当館を取り巻く状況もさまざまに変化してまいりました。さらなる発展に向けて私たちが思い描く大阪大学総合学術博物館の将来像の一端をご覧ください。

これまでの活動

 現在、総合学術博物館は、2007年に整備された待兼山修学館展示場(旧医療短期大学部本館)と2011年に全面改装された大阪大学会館の一部を借りて、教員の研究スペース、常設展示場、資料収蔵スペース、および事務スペースを捻出し、大阪大学のモットーである「地域に生き 世界に伸びる」を実践するための社会貢献、地域連携の窓口として、毎年二度の企画展示やサイエンスカフェ、年1回の豊中市立小中学生理科展 サテライト展をはじめとするさまざまな科学啓発活動を実施し、大阪大学の教育研究を社会に発信するアウトリーチ活動について顕著な成果を上げています。

 また、大阪大学創立90周年/大阪外国語大学創立100周年記念事業としての大学創立周年記念展など、学都大阪の礎となり、世界に羽ばたく大学としてどのように発展してきたのかなど、大阪大学の歴史として重要な展覧会なども開催しています。

 

将来展望

 今後、大学の社会に対する説明責任は益々増加し、専門的なバックグラウンドを持たない一般の方々に対しても、大学が果たす役割と研究教育の成果を、わかりやすく発信する仕組みが求められることは必然です。大学博物館だからこそできるユニークな教育研究、例えば文化財資料を用いた独創的で創造的な教育研究を文理融合した学際的な立場から実践するなど、社会にわかりやすい形でその成果を伝える努力が望まれています。これらの将来構想を達成すべく、以下のような項目を中心に、大阪大学の社学連携・社会貢献・アウトリーチ活動の強化を図っていきたいと考えています。

・ 常設・企画展示と通じた教育研究成果の発信
・ サイエンスカフェ等を通した科学啓発活動の実践
・ 独創的かつ創造的な文理融合した文化財研究
・ 社学連携・アウトリーチ機能の集約化とその機能強化
・ 博物館類似施設から博物館相当施設への昇格

方 針

 社学連携・アウトリーチ活動機能の更なる強化と効率化を図るため、現在駐車場となっている石橋宿舎の跡地(平坦部分約2,400 ㎡)を活用し、総合学術博物館、21世紀懐徳堂、適塾記念センター、懐徳堂センター等が供用する新棟を建設しようというものです。待兼山は緑豊かな自然を残した場所であり、その地下には古墳群をはじめとして待兼山の植物や昆虫の生態系を保護し、地下遺構を保存整備するとともに、収蔵・展示の設備はもとより、研究室や学習支援機能を併せ持つ社学連携総合棟(仮称)を建設し、待兼山全体を博物館が中心となる社会貢献・社学連携の窓口として活用してまいりたいと考えています。この新棟により、博物館機能の充実(「博物館相当施設」の認定、展示スペースの拡充など)はもとより、大阪大学の歴史―今・昔・自然―を伝える仕掛けとして石橋口の「顔」となるほか、複数の部局を集約化することで部局間連携が活性化し大阪大学の社学連携・アウトリーチ機能の更なる強化につながることが期待できます。