畑田家住宅(登録有形文化財)を一般公開! 同時開催 フォーラム「脂肪の摂取と心・体の健康」 

一般公開

平成11年6月に国の有形文化財に登録された畑田家住宅は、羽曳野市郡戸の旧家で、田の字型の主屋や長屋門とそれに続く2棟の蔵や納屋などは明治時代の屋敷構えの趣きをよく残しています。この貴重な文化財を一般に公開しますので、奮ってご参加ください。

 

日 時:2007年3月18日(日)10:30~13:30

費 用:無料

場 所:国の登録文化財 畑田家住宅 

 

フォーラム 

「脂肪の摂取と心・体の健康」 杉田義郎(大阪大学教授)

 

必須脂肪酸は人間の身体が必要とするものですが、身体の中では生産することが出来ない脂肪酸です。脂肪酸は脂肪の構成要素です。脂肪は不健康というレッテルを張られがちですが、身体には非常に大事なものです。したがって、食事からすべての脂肪を除いてしまおうと考えるのは、体の健康にとって非常に良くないことです。

 必須脂肪酸はエネルギー生産を含む、多くの代謝過程に重要なものです。体内では生産出来ないため、食事から摂取してより良い健康を目指して活用していく必要があります。

 必須脂肪酸は、われわれ一人の身体中で60兆個といわれる細胞の膜組織の主要構成成分です。したがって、健康的な細胞活動を維持するためにはバランスの採れた脂肪酸の摂取が必要となります。細胞はあたかも小さな工場のようなものです。細胞外(たとえば血液)から栄養(原料)や酸素を吸収して、様々な化学物質を作っています。細胞に出入りする物質のすべては細胞の表面、つまり細胞膜を通過しなければなりません。細胞膜がその正常な構造を維持し、物質透過に対する順応性を保てるかどうかは必須脂肪酸によって決まります。必須脂肪酸が不足したり、欠乏したりすれば、細胞膜は硬くなり、その正常な機能が失われます。

 必須脂肪酸は不飽和脂肪酸といって炭素と炭素の2重結合を持っており、その位置によってオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸に大きく分けることが出来ます。オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は、食物を身体が利用できるエネルギーに転換することと、そのエネルギーを身体システム中の必要な場所に運ぶことに関わっており、それによって人間の成長、スタミナ、精神状態に大きな影響を及ぼします。egoma

 では、必須脂肪酸はどのようにして作られるのでしょうか? 植物はオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸を産生し、オメガ6脂肪酸を種子に、オメガ3脂肪酸を葉と根に蓄積する傾向があります。植物プランクトンはオメガ3脂肪を多く作りますので、これを餌とする魚介類、またそれら魚介類を餌とするアザラシなどの海獣類はオメガ3脂肪酸を多く持っていることになります。養殖魚などは与えられる餌によって脂肪酸の変化が起こるので、養殖魚の脂には必ずしもオメガ3脂肪酸が多く含まれているとはいえません。オメガ3脂肪酸は魚油に豊富に含まれています。一方、オメガ6脂肪酸は黒カラント、ルリジサ、クルミ、クリ、大豆などの種子からとれる植物オイルや月見草に含まれています。亜麻油、エゴマ油は植物オイルですが、例外的にオメガ3脂肪酸を豊富にふくんでいます。エゴマ(写真左)はシソ科の植物で、東アジアで食べ物として栽培されています。日本で油として使われるようになったのは平安時代初期のようです。

 必須脂肪酸は先に述べたように、2重結合を持っていて非常に酸化しやすいので、料理中加熱によって変質し、身体に不適当な物質となることもあるので注意が必要です。加熱するのであれば、動物の脂肪であるバターやラードなどの飽和脂肪酸を使用する方が良いのです。

 この講演では、脂肪酸、特に必須脂肪酸とこころ、身体の健康との関連についてわかりやすく解説したいと思います。

 
日 時:2007年3月18日(日) 14:00~17:00

定 員:先着40人

費 用:無料

問合せ先:羽曳野市教育委員会  歴史文化課 ℡: 0729-58-1111

 

主 催:畑田家住宅活用保存会

協 賛:大阪大学総合学術博物館

 

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