学術シンポジウム [第7回特別展 関連イベント]

「医・薬・理・農学の共創的連携:22 世紀の薬草政策につなぐ今」

第7回特別展「漢方今昔物語 生薬国産化のキーテクノロジー」 関連イベント

  • 日時・場所:2014年6月7日(土) 13:00〜17:30 大阪大学会館 講堂
  • 参加方法:当日先着順(参加無料、30 分前より受付開始、定員200名)
  • コーディネーター:大阪大学総合学術博物館資料基礎研究系 准教授 高橋京子
  • シンポジスト
    1. 開催趣旨&プロローグ 『江戸期の薬種国産化政策:森野旧薬園からの示唆』
      大阪大学総合学術博物館 資料基礎研究系 准教授     高橋京子(薬)
    2. 『輸入生薬の現状と国内生産への取り組み』
      株式会社栃本天海堂 副社長               姜東孝 (薬)
    3. 『良質の生薬に立脚した漢方診療を志す〜漢方の配合理論〜』
      奈良県立医科大学大和漢方医学薬学センター特任教授    三谷和男(医)
    4. 『医薬品としての生薬・薬用植物,薬学的視点からの共創的連携』
      国立医薬品食品衛生研究所 薬品部 部長         合田幸広(薬)
    5. 『薬用作物を活用した6次産業化の可能性と課題:機能性農作物の産業化モデル』
      独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構
      中央農業総合研究センター 農業経営研究領域 主任研究員 後藤一寿(農)
    6. 『漢薬基原植物の予備役を求めて』
      高知県立植物園・名誉園長                小山鐵夫(理)

 

漢方薬原料である生薬の基源種はその大半を野生植物に依存しているため、自然破壊の加速による急速な植物種の消失により維持と安定供給が危惧されている。市場のグローバル化のもと、資源小国・日本は使用生薬の絶対量不足が自明で、漢方薬産業は終焉に達する危険を孕む。更に生薬資源に対する生物多様性条約関連の法規制は①遺伝資源の利用、②薬効や有効性などに関する情報を包含する伝統知識の利用の両方が対象となり、研究や産業の発展を阻む事象(資源ナショナリズム:資源国による資源独占政策)が顕在化している。

薬用植物の栽培化は不可欠であるが、常法では育種が困難な植物も多く、予備役となる潜在資源確保には広い視点が必要となる。収益性と生態的持続性を満足する資源植物栽培には、新品種薬種栽培型開発に活用できる潜在的資源植物の多様化を意図せねばならない。また、自然環境保全や生薬の安全性・有効性を担保できる品質の標準化には、国際連携を強め、生薬を国内で確保・供給できるシステムの実用化が求められる。従来の医薬学、理学、農学による相互接点が欠落した非現実的な縦割り研究から脱却した共創的連携こそが、国産薬種殖産の鍵となる。各シンポジストの専門は、医・薬・理・農学と異なるが、漢方医学・漢方薬の意義とその重要性を深く理解し、日本の未来医療に欠くべからざる医薬品として継続的使用(活用)を切望している。本シンポジウムが各研究をつなぐプラットフォームとなれば幸甚である。

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