展覧会では、適塾で緒方洪庵に学んだ在村医・藤野恒三郎、その三男で中国の文豪・魯迅が生涯の師とした藤野厳九郎、その甥で適塾顕彰活動に尽力した細菌学者・藤野恒三郎の生涯と交流を紹介します。本展に関連して開催する特別企画では、2本の講演を用意しました。
木下タロウ氏は、適塾記念会・大阪大学適塾記念センターおよび大阪大学微生物病研究所(微研)に関わる立場から、天然痘やコレラの対策に尽力した緒方洪庵に始まり、恒三郎が第4代所長を務めた微研に至る、感染症研究の流れを紹介します。
竹田美文氏は、師の恒三郎による「藤野・日本細菌学史」をひもときながら、腸炎ビブリオ発見という恒三郎の業績を改めて評価します。
冒頭では、本展を担当した西川哲矢(大阪大学適塾記念センター特任助教)が展覧会の見どころを解説します。
【日時】5月18日(土)14:00~16:45
【会場】大阪大学会館 講堂
【講演】
木下タロウ(大阪大学感染症総合教育研究拠点特任教授(常勤))「適塾と大阪大学微生物病研究所」
適塾は幕末の大坂にあって最先端の西洋医学を学ぶ場でした。緒方洪庵の薫陶を受けて育った門下生たちがその後明治維新を経て近代化していく我が国の医学の発展を支えました。東京大学や大阪大学の医学部の元になったそれぞれの医学校の主要な教員は適塾門下生です。大阪大学微生物病研究所は、東京大学伝染病研究所から大阪に赴任した谷口腆二らによって昭和9年に設立された感染症研究の拠点です。講演では、適塾から大阪大学微生物病研究所へと続く研究の流れを辿り、感染症研究の重要性を考えます。
竹田美文(元国立感染症研究所所長)「私の藤野先生-細菌学史にその名を刻んだ腸炎ビブリオの発見-」
藤野恒三郎先生は、細菌学者であると同時に細菌学史に造詣の深い医史学者でもありました。講演の前半では、先生の大著「藤野・日本細菌学史」から、わが国に近代西洋医学が導入された経緯と発展を解説します。後半では、昭和25年に大阪府の泉南地方で発生した「シラス食中毒事件」に際して、新種細菌・腸炎ビブリオを発見した経緯について、当時の世情を解説するとともに、学界の反応を述べ、さらに腸炎ビブリオ食中毒の世界への拡大を述べます。
【申込】 お席に余裕があるため、事前申込なしで当日の参加可能です
ご応募はこちらのFormsからお願いします。
締切:2024年5月13日(月)17:00 5月16日(木)17:00まで延期します。
※定員300名/開始30分前開場。参加費無料
※定員になり次第締め切ります。
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