世界結晶年2014 (International Year of Crystallography 2014)記念
大阪大学総合学術博物館第18回企画展
魅惑の美 Crystal ―最先端科学が拓く新しい結晶の魅力―
会場:大阪大学総合学術博物館待兼山修学館 入場無料
会期:2014年10月25日(土)~2015年1月16日(金)
開館時間:10:30〜17:00
休館:日・祝・年末年始(12/28~1/4)ただし、11月2日(日)、3日(祝)、2015年1月12日(祝)は開館
主催:大阪大学総合学術博物館、大阪大学蛋白質研究所
共催:大阪大学大学院理学研究科、Protein Data Bank Japan
協力:日本結晶学会、株式会社リガク、日本電波工業株式会社、株式会社福田結晶技術研究所、株式会社イーディーピー、大阪大学21世紀懐徳堂
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【展示構成】
- 序 章 芸術の中の結晶
《描法再現紅白梅図屏風》(11/5より)、『雪華図説』『続雪華図説』
- 第1章 結晶は美しい
人工ダイヤモンド、人工水晶、人工サファイア、鉱物等、理学部中之島時代のプリズム結晶
- 第2章 結晶学繁明期の大阪大学
結晶学会設立時の資料、炭素の正四面体の4本の手のモデル、カイニン酸、フグ毒結晶(写真)、 理学電機の古いX線カメラ、手回しローター
- 第3章 結晶学の中心地としての大阪大学
チトクロムc等の蛋白質模型、3D-CG、顕微鏡で見る蛋白質結晶、SPring-8(パネル)、 PDBj (PC)
- 終 章 結晶の未来
非線形光学材料、X線自由電子レーザー(パネル)、金属有機構造体結晶
【見どころ】
日本語の「結晶」という言葉は、物質が規則正しく集合してできたキラキラ輝く物を意味します。美しく輝く結晶は自然が作り出した芸術です。現在も宝石として人を魅了し続ける一方、結晶を用いて物質の構造を決定する『結晶学』は、物理、化学、生物学、地学など幅広い学問領域で重要な役割を担っています。 大阪大学では、理学部物理化学講座初代教授である仁田 勇(にった いさむ,1899 -1984)の流れをくむ多くの研究者が活躍してきました。仁田によってカイニン酸やフグ毒テトロドトキシンなどの生理活性物質の絶対構造が決定され、角戸正夫(かくど まさお, 1917-2005)は、日本で最初に巨大分子である蛋白質の立体構造(カツオ由来チトクロムc)を解析しています。理学部化学教室は、X線結晶学をベースとした構造化学、構造生物学の研究に伝統と実績があり、大阪大学は自他ともに認める結晶学研究のルーツの一つと言えます。
2014年はユネスコが定めた国際結晶年にあたり、日本結晶学会を中心に様々な企画が開催されています。この展覧会では、最先端科学を支える学術的側面と、その美しさで人を魅きつける美術品としての側面を融合します。たとえば、江戸時代の画家、尾形光琳の作品《紅白梅図屏風》は、顔料の結晶状態を粉末X線結晶解析等にて分析することで、その描法をふくめて現在に蘇らせることができました。このように新しい結晶の魅力を伝えるとともに、本学における結晶学研究の歩みを振り返ります。
【関連イベント:結晶展体験教室】
体験教室1(会場:待兼山修学館3階セミナー室)
日時:11月22日(土)14:00〜15:30
題目:のぞいてみよう結晶の世界
講師:栗栖源嗣 大阪大学蛋白質研究所 教授
概要:『結晶』と聞いて何を思い起こしますか?体育会系の人であれば『汗と涙の結晶』かもしれませんし,おしゃれに敏感な大人であれば『宝石としての結晶』かもしれません。このように結晶は大変身近な物質です。しかし実は,科学・技術の分野でも見えないモノをみる“必殺技”として,結晶は人気者なのです。宝石のように固い結晶,塩のように砕ける結晶の他に,豆腐のように崩れる蛋白質の結晶に実際に触ってみると共に,その違いを考えながら,科学者になった気分ですこし結晶の世界をのぞいてみましょう。
定員:30名、 Webにて1週間前までに事前申し込みをお願いします。定員に達し次第、締め切ります。
申し込み受け付けは終了いたしました。
※小学生低学年以下の方のお申し込みは、保護者の同伴をお願いいたします。
体験教室2(会場:待兼山修学館3階セミナー室)
日時:12月13日(土)14:00〜15:30
題目:雪は天から送られた手紙である
講師:豊田二郎 大阪大学総合学術博物館 准教授 「雪は天から送られた手紙である」というのは北海道大学の中谷 宇吉郎 (なかや うきちろう)先生の有名な言葉です。雪がどんな形をしている のかは、「アナと雪の女王」の映画の中でしか見たことがない人も多いか もしれません。この体験教室では、ペットボトルの中で実際の雪の結晶を 成長させ、その形を観察します。また、溶液の中で結晶が熱を出しながら キラキラと成長する様子を観察したり、結晶で雪の花を作ったりして、 結晶とは何か?を体験します。
定員:30名、 Webにて1週間前までに事前申し込みをお願いします。定員に達し次第、締め切ります。
申し込み受け付けは終了いたしました。
※小学生低学年以下の方のお申し込みは、保護者の同伴をお願いいたします。
【関連イベント:シンポジウム】
シンポジウム「魅惑の美 Crystal―最先端科学が拓く新しい結晶の魅力―」
近代結晶学誕生100周年を祝し、日本におけるこれまでの、現在の、そして将来への結晶学の役割を紹介します。新規分析法による尾形光琳「紅白梅図屏風」の科学分析調査と、その成果をもとに描法を再現した同屏風の作成過程を紹介します。また、最先端の電子デバイスとして、様々に応用できる単結晶材としてのダイヤモンドの作成技術と、今後の可能性についても検討します。
事前申し込みをお願いします。受付締切日を12月19日(金) 17:00 まで延長いたします。
日時:2014年12月20日(土)13:00~17:00(12:30開場)
会場:大阪大学シグマホール (基礎工学部国際棟)
第1部 講 演 13:00 ~
講演1 「世界結晶年 -結晶学と大阪大学—」
栗栖源嗣(くりす げんじ) 大阪大学蛋白質研究所教授
講演概要:物質科学,生命科学の分野では,結晶を用いて物質の構造を決定する『結晶学』という研究領域が,大変重要な役割を担っています。理学部・仁田勇先生(物理 化学講座初代教授)から始まる大阪大学における結晶学研究は,化学・生物学の 領域におけるルーツの一つであると言っても過言ではありません。本学における 結晶学研究の歩みを振り返るとともに。我々の身近で活躍する『結晶の世界』に ついてお話します。
略歴: 1969年生まれ。広島県出身。1997年大阪大学博士(工学)。1997年大阪大学蛋白 質研究所助手。その間、米国パデュー大学博士研究員。2004年東京大学大学院総 合文化研究科助教授、2009年大阪大学蛋白質研究所教授。専門は蛋白質結晶学, 特に光合成や分子モーターといった生体エネルギー変換反応を担う蛋白質の構造 研究。生体超分子装置の構造原理を生物化学の言葉で記述する事を目標としている。
講演2 「国宝「紅白梅図屏風」の300年前の姿を解き明かす」
中井 泉(なかい いずみ) 東京理科大学グリーン&セーフティ研究センター長
講演概要:江戸時代の画家、尾形光琳が描いた「琳派」を代表する作品「紅白梅図屏風」(国宝)の制作当時の300年前の姿は、今とは大きく異なっていた。最先端のポータブルX線分析装置をつかって、結晶化学的分析調査を行なった結果、中央に流れる川部分に銀箔がはられ、金地には金箔をはり、硫黄により銀箔を硫化させた硫化銀により黒い川の流水模様を表現したことがわかった。
略歴:1953年生まれ。1980年筑波大学理学博士。1980年より筑波大学文部技官、化学系助手、講師 を経て、1994年東京理科大学理学部応用化学科助教授、1998年より教授。2005年よりグリーン光科学技術研究センター長、2010年よりグリーン&セーフティ研究センター長。世界最高性能のポータブルX線分析装置をメーカーと開発し文化財を分析し、物質史を解読。特に、日本の古代ガラスの起源を解明することを目的にトルコ、シリア、インド、ベトナムなどユーラシア大陸各地の古代ガラスを分析して回っている。
講演3 「光琳に倣う日本の美」
森山知己(もりやま ともき) 画家
講演概要:科学調査による結果、研究を受け、紅白梅図の再現制作を試みる画家として求められた技術それぞれを具体的に確認することにより、日本美術における価値観の所在、光琳に倣った事についてを考察します。
略歴:1958年生まれ。画家 東京芸術大学大学院美術研究科絵画専攻修士課程修了(日本画)失われつつある材料、表現技法に着目し、それらを用いた制作を実際に行うことによって日本絵画の伝統的価値観を現代に活かす制作を行っている。2011年、科学調査結果を基に尾形光琳作 国宝 紅白梅図屏風(MOA美術館所蔵)の描法再現制作を行う。
講演4 「ガスからダイヤモンド単結晶を作る」
藤森直治(ふじもり なおじ) (株)イーディーピー 代表取締役社社長
講演概要:ダイヤモンドは天然ばかりでなく超高圧法という人工合成の手段が確立しており、既 に大量に生産がおこなわれている。この技術で製造されたダイヤモンドで、石の切断 や研磨、シリコンデバイスの切断等が行われている。一方、約30年前にガスからダイ ヤモンドを製造する技術が発明され、これも既にいくつかの製品が登場している。板 や膜などの新しい形のダイヤモンドが作れ、新しい応用が始まっている。ダイヤモン ドは材料中最高の特性がいくつもあり、応用することによってこれまでの材料ではで きなかったことが実現する可能性がある。単結晶ダイヤモンドはダイヤモンド本来の 特性を持つという意味で、非常に重要な材料であるが、これまで大型品を作ることが 出来ず、このことによって応用が制限されてきた。当社はガスから単結晶のダイヤモ ンドを製造する会社で、既に25x25mmもある板状の結晶も製造している。様々な応用 に適合する単結晶材を作る技術と、今後の可能性について解説する。
略歴:
1975年 東京大学大学院工学系研究科修士課程修了
1995年 京都大学工学博士
1975年 住友電気工業㈱入社 ダイヤモンドの製造技術や製品開発に従事
2002年 同社ITコンポーネント事業部長
2003年 (独)産業技術総合研究所入所、ダイヤモンド研究センター長 (2010年ま で)
2004年 ニューダイヤモンドフォーラム会長 (2010年まで)
2009年 (株)イーディーピー設立 同社取締役
2010年 同社代表取締役社長 現在に至る
第2部 パネルディスカッション 16:15 ~17:00
栗栖源嗣(司会)・中井 泉・森山知己・藤森直治
※ 12月13日(土)までに受付締切日を12月19日(金) 17:00 まで延長いたします。事前申し込みをお願いします。定員(200名)に達し次第締め切ります。
参加者には、日本電波工業株式会社提供のラスカ(人工水晶の原料となるブラジル産天然水晶のかけら)をプレゼントいたします。
【お問い合わせ先】
〒560-0043 大阪府豊中市待兼山町1-13 大阪大学総合学術博物館
TEL 06-6850-6715, FAX 06-6850-6720
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