展示内容
1.
変わる里山:北摂の絵図と地図にみる景観変化
2.
貨幣と空間,そして時間−藩札の形成,流通,銷却:故作道洋太郎名誉教授遺贈資料より−
3.
物質科学へのアインシュタインの功績
4.
この世で最も重い原子を求めて
5.
漢方薬ナビゲーション:時空を超えて科学する心
6.
宇宙から見た世界の雷活動
7.
太陽エネルギーの有効利用
8.
繰り返しから生まれる複雑さ
9.
ナノテクの4次元空間=ナノ3次元+アト秒
10.
PDBj: Protein Data Bank japan (日本蛋白質構造データバンク)
11.
時を止め、空間を作る
12.
琥珀にひそむ時空のなぞ
13.
時間と空間の知覚:知と行動の科学
14.
曲面の世界
15.
出版活動
13. 時間と空間の知覚:知と行動の科学
知と行動研究グループ
(生命機能研究科、人間科学研究科、医学系研究科、コミュニケーションデザインセンター)
大澤 五住、藤田 一郎、佐藤 宏道、熊倉 博雄、中道 正之、畑澤 順、池田 光穂
私たちや動物が物を見て行動する時、脳の中では何が起っているのだろうか? 私たちが顔や物体の形の認知し、動きを知覚できるのは、目が受け取る物理的な光の空間的・時間的変化を脳が分析し解釈していることによる。こうした機能を担う神経細胞の働きを知り、立体視や錯覚の不思議を実際に体験しよう。
大脳視覚野の神経細胞の活動
大脳全体の内、何らかの形で視覚に関係する領野は40%ほどもあると言われている。大脳で最初に二つの目からの情報を受ける領域は一次視覚野と呼ばれ、後頭部に位置する。一次視覚野の神経細胞の活動は神経インパルスとして脳前方の領野に順次伝達され、認知等の高度な知覚と行動を引き起こす。
視覚を司る大脳領域。 一次視覚野は後頭部に位置する。
外の世界を見る脳と神経細胞の活動
脳活動の計測
脳の働きを理解するためには、脳活動の計測を行い、知覚や判断、さらに行動との関連を調べる必要がある。個々の神経細胞の活動の計測は現在でも侵襲的な測定法に依存している。
1ミリ角程度以上の大きさの 脳機能モジュールの活動は非侵襲的なPETや機能的MRI等の手法により計測できるようになった。
大脳の単一神経細胞の活動電位記録
ヒト乳児の脳のPETによる非侵襲的な脳活動
の計測
脳は視覚情報を傾き成分に分解し表現する
個々の神経細胞レベルの研究により、一次視覚野の細胞は、画像情報を傾きを持った様々な大きさの要素に分解して表現していることが解った。
個々の細胞は受容野と呼ばれるごく小さな視野しか持たないが、多くの細胞が分担して視野全体をカバーしている。物体の形と動きの知覚のために、時間と空間の両方の情報を担う細胞が存在する。
一次視覚野では傾きを持つ様々な大きさの要素に画像を分解して表現している。
このような時空間受容野を持つ一次視覚野細胞は物の形と動きの両方の情報を伝えている。
高次視覚機能のために情報を再統合する
奥行きを含む3次元での物体の形を知る、あるいは複雑な自然界の視覚環境で他の動物を背景から見分ける等の高次視覚機能がある。驚くほど少ない手掛かりから、ヒトや動物の脳は有用な情報を取り出している。
ステレオ立体視は単眼では見えない奥行き情報を取り出すことができる。
非常に少数の点の動きから、ヒトや動物の動作に関する多くの情報が得られる。
認知と行動にいたる視覚情報の脳内での再統合の過程は今後の重要課題である。
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大阪大学総合学術博物館 第4回企画展 時空のなぞ
〜アインシュタイン・イヤーによせて
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