1.
変わる里山:北摂の絵図と地図にみる景観変化

2.
 

3.

  物質科学へのアインシュタインの功績

4.
  この世で最も重い原子を求めて
 

5.
  漢方薬ナビゲーション:時空を超えて科学する心

6.
  宇宙から見た世界の雷活動
 

7.
  太陽エネルギーの有効利用
 

8.
  繰り返しから生まれる複雑さ
 

9.
  ナノテクの4次元空間=ナノ3次元+アト秒

10.
  PDBj: Protein Data Bank japan (日本蛋白質構造データバンク)

11.
  時を止め、空間を作る
 

12.
  琥珀にひそむ時空のなぞ
 

13.
  時間と空間の知覚:知と行動の科学

14.
  曲面の世界
 

15.
  出版活動
 
9. ナノテクの4次元空間=ナノ3次元+アト秒

産業科学ナノテクノロジーセンター/岩崎 裕、菅沼 克昭、田畑 仁、弘津 禎彦、
        村杉 政一、吉田 陽一
4次元図解私たちは毎日の生活の中で、四方八方にどこまでも広がる空間と、過去から未来に向けて一方向に流れる時間があることを知っています。
これら長さで表す空間3次元と時間1次元は、実は不可分な物なのです。

たとえば「バス停まで3分」といえば、歩いて3分の距離を表しますね。そこで3つの長さと1つの時間をまとめて4次元空間と呼ぶことにしました。
上の図は長さの大きいものから、小さい物までの実例を絵で示しています。地球と月の距離は38.4万キロメートルで、分子や原子の直径は約1ナノメートルです。

一番大きな距離は宇宙の長さといわれる160億光年でしょうか? 一番小さな距離は原子を構成しているクォーク(素粒子)の長さよりまだ短いみたいです。
時間図左の図は長い時間から、短い時間までの例を示しています。宇宙の年齢は約160億年とも言われ、これは約10の18乗秒です。

一番短い時間は10のマイナス43乗秒ぐらいではないかという物理学者もいて、よく分かっていません。
大阪大学ナノテクノロジーセンターでは、10の18乗分の一秒という、光でさえもわずか1万分の3メートルしか進めない短い時間(アト秒)の間に、直径が10億分の1メートル(ナノメートル)の球の中で生じる未知の物理や化学の諸現象の研究を行い、新製品の開発技術を研究します。

アト秒ナノ空間を観測する道具には、電子顕微鏡やパルスラジオリシスという技術があります。たとえば、DVDの記録材料や、計算機のCPUやメモリなどの半導体が、身近なナノテクノロジーの製品です。              
加速器画像
阪大産研Sバンドフォトカソード
RF電子銃ライナック
電子線露光器画像
ライナックイラスト

〈加速器〉
電子パルスといわれる特殊なビームを使って、作り方を調べます。

 

建設経緯と研究成果

〈電子線露光器〉
実際にナノテクを使って物を作ります。
2003年 1月 極短パルス電子線の発生とナノ空間内の高速反応の解明のため、フォトカソードRF電子銃ライナックを導入
 
2004年 6月 初めて1台の加速器でダブルデッカーフェムト秒電子ビーム発生に成功
 
2004年11月 初めて小型加速器で最短98フェムト秒電子パルスの発生に成功
 
2004年12月 等価速度分光パルスラジオリシスの検証実験に成功
それでは、実際にナノテク技術を覗いてみてください。
先端実装技術が実現するナノマテリアルの産業応用
さまざまな方法で開発されたナノ材料はどのように使うことができるのでしょうか?

ひとつの方法として、インクジェット法などの先端実装技術を用いて基板上に印刷することが考えられています。実際に、コンピュータ上で設計した回路パターンをフレキシブル基板上に印刷し、高性能電子機器の開発が進められています。

また、ヒューマノイドロボット(アンドロイド)の皮膚となる高感度センサーが開発され、生活支援機器としての環境適合性の実証試験も始められようとしています。
ナノペースト画像
マイクロディスペンサ画像
センサーネットワーク画像
        有機ピエゾ素子を用いたセンサーネットワーク(高感度皮膚センサー)
ナノマテリアル→先端実装技術→応用例
ナノテクノロジープロセスファンドリー
文部科学省“ナノテクノロジー総合支援プロジェクト”の一環として、大阪大学・産業科学研究所・産業科学ナノテクノロジーセンターに「ナノテクノロジープロセスファンドリー」を平成14年度から発足させました。

学内外のナノテク研究者が必要とする試料を作製したり評価するなどのため、用意した装置やノウハウを持つスタッフなどを基本的に無償で提供し、学内外研究者からの支援要請に応じたナノテクノロジー追究を側面から支援します!
ナノテクノロジー図解 <支援の3領域>
(1)原子や分子を積み上げて酸化物や有機物
   の薄膜創製
(2)ナノデバイス化するための極微細加工
(3)薄膜創製後や極微細加工後の試料の観察
   や評価

<支援の4形態>
(1)技術相談(2)技術代行(3)施設利用(4)共同研究
支援成果例;フラット透明薄膜電極ITOの創製
世界市場を形成しつつある有機ELの電極として、超平坦な錫ドープ酸化インジウム( ITO )が注目されています。
 
有機ELは有機層が極めて薄くまたキャリア注入型の発光デバイスであることから、原子レベルで平坦化された電極が求められています。
イラスト(1)
Ra = 0.98 nm
ガラス基板上
イラスト(2)
Ra = 0.30 nm
Yttrium Stabilized Zirconium 基板上