1.
変わる里山:北摂の絵図と地図にみる景観変化

2.
 

3.

  物質科学へのアインシュタインの功績

4.
  この世で最も重い原子を求めて
 

5.
  漢方薬ナビゲーション:時空を超えて科学する心

6.
  宇宙から見た世界の雷活動
 

7.
  太陽エネルギーの有効利用
 

8.
  繰り返しから生まれる複雑さ
 

9.
  ナノテクの4次元空間=ナノ3次元+アト秒

10.
  PDBj: Protein Data Bank japan (日本蛋白質構造データバンク)

11.
  時を止め、空間を作る
 

12.
  琥珀にひそむ時空のなぞ
 

13.
  時間と空間の知覚:知と行動の科学

14.
  曲面の世界
 

15.
  出版活動
 
6. 宇宙から見た世界の雷活動

工学研究科/森本健志・河崎善一郎
雷観測マップ
 
雷放電は、太古の昔から存在するよく知られた電気的現象です。この現象に関する研究は長年、多くの研究者によってなされていますが、未だ謎は多く残っています。

「今、地球上でどれだけの雷放電が起こっているのか?」「世界で最も雷活動の活発な地域はどこか?」これらの疑問を解明するのが、人工衛星による宇宙からの雷観測です。

人工衛星で観測された世界の雷分布を眺め、地球環境と雷活動との関わり合いについて考えます。

熱帯降雨観測衛星(TRMM)1997年11月28日に打ち上げられた熱帯降雨観測衛星(TRMM)には降水を宇宙空間から測定するレーダ(PR)、雷活動を測定するセンサー(LIS)など、5つのセンサーが搭載され、南緯35度から北緯35度の雷嵐活動を測定しています。
大阪大学雷研究グループは、上記の内LISの主研究者としてTRMMプロジェクトに参加、東南アジアの観測結果を中心に解析を進めています。
1月
2月
雷嵐活動 1月   雷嵐活動 2月
     
3月
 
4月
雷嵐活動 3月   雷嵐活動 4月
     
5月
 
6月
雷嵐活動 5月   雷嵐活動 6月
     
7月
 
8月
雷嵐活動 7月   雷嵐活動 8月
     
9月
 
10月
雷嵐活動 9月   雷嵐活動 10月
     
11月
12月
雷嵐活動 11月 雷嵐活動 12月
地球環境変動の一種であるエルニーニョ/ラニーニャ現象時の雷雲と雷活動の様子を見てみましょう。
6年平均に対する割合
>130%>>105%>>95%>>70%>
 
エルニーニョ現象時
ラニーニャ現象時
 
  エルニーニョ現象時の降雨観測回数   ラニーニャ現象時の降雨観測回数   エルニーニョ現象時インドネシア・オーストラリア以東で降雨回数が減る
             
  エルニーニョ現象時の発雷数   ラニーニャ現象時の発雷数   エルニーニョ現象時インドネシア、オーストラリア西岸部と東アジアで発雷数が増える
             
  エルニーニョ現象時の降雨強度   ラニーニャ現象時の降雨強度   エルニーニョ現象時発雷が増加する地域において降雨強度が強くなる
             

(雷雲中、固体粒子が存在し得る領域の高さ)
  エルニーニョ現象時のStorm height   ラニーニャ現象時のStorm height   エルニーニョ現象時太平洋より西ではStorm Heightが高くなる
 
・人工衛星観測によって、世界の発雷マップが作成できました。
・雷活動の季節変化(南北方向の振動)が明らかとなりました。
・エルニーニョ/ラニーニャ現象時の対流活動を考察したところ、降雨回数
 は減るけれど、降雨強度や発雷数が増えるなど、興味深い現象が発見され
 ました。
取得された観測データをより詳細に考察すること、正確な地球環境観測を継続して行くことは、これからも地球で暮らしていく私にとってとても重要なことです。