1.
変わる里山:北摂の絵図と地図にみる景観変化

2.
 

3.

  物質科学へのアインシュタインの功績

4.
  この世で最も重い原子を求めて
 

5.
  漢方薬ナビゲーション:時空を超えて科学する心

6.
  宇宙から見た世界の雷活動
 

7.
  太陽エネルギーの有効利用
 

8.
  繰り返しから生まれる複雑さ
 

9.
  ナノテクの4次元空間=ナノ3次元+アト秒

10.
  PDBj: Protein Data Bank japan (日本蛋白質構造データバンク)

11.
  時を止め、空間を作る
 

12.
  琥珀にひそむ時空のなぞ
 

13.
  時間と空間の知覚:知と行動の科学

14.
  曲面の世界
 

15.
  出版活動
 
7. 太陽エネルギーの有効利用

大阪大学太陽エネルギー化学研究センター / 原田隆史・池田茂・松村道雄
地球規模での将来の利用可能エネルギー利用
エネルギー利用図解
人類は大量の石油、天然ガス、石炭などのエネルギー資源を消費しています。これらの資源は有限であり、今のペースの消費が続くと、石油は今世紀中に無くなってしまうと予想されています。
これからの時代、太陽エネルギーの有効利用がますます大切になってきます。
人工光合成(太陽エネルギーで燃料を合成する)
石油、石炭などの資源の起源は植物の光合成です。これらの化学物質は、電気エネルギーと違って備蓄しやすいこと、また、物質製造の原料として使えるという点で重要です。

植物の光合成に倣って、太陽光をエネルギー源とする物質製造技術(人工光合成)を開発することは、今日の科学者の大きな夢となっています。
図2
図3
植物光合成イラスト 人工光合成イラスト
植物の光合成
人工光合成

光エネルギーを利用して物質を製造するためには、光を吸収してそのエネルギーを取り出す仕組みが必要です。光合成ではクロロフィルがその働きをしています。

その機能を人工的に実現するために、半導体粒子からできている光触媒が用いられています。
光触媒反応画像と図解
さまざまな光触媒反応系
太陽電池(太陽エネルギーで発電する)
太陽光発電は環境と最も調和した新エネルギー源として注目されています。そのため、太陽電池の生産量は急速に拡大し、住宅用発電設備や道路の発光標識などに広く使われるようになっています。

また、日本は太陽電池の製造で世界の生産量の約半分を占め、世界一を誇っています。
図5
図6
発電システム画像   グラフ
クリーンな発電システム
 
太陽電池の生産量の増大

太陽光発電は理想的なエネルギー源ですが、現状の太陽電池で得られる発電コストは約45円/kWhと、家庭用電力料金の2倍にもなっています。

太陽光発電を本格的に広げてゆくためには、この発電コストを引き下げることが重要です。その実現のためには発電の効率を高めることと、太陽電池の製造コストを低くすることが不可欠です。
図7
図8
効率向上のためのアプローチ
 
低コスト化のためのアプローチ
顕微鏡画像とイラスト
太陽電池画像
低反射率多結晶シリコンの利用
 
研究中の有機薄膜太陽電池
太陽エネルギーを利用する原理は、アインシュタインが提唱した「光はhνのエネルギーをもった粒子である」という性質に基づいています。  
地球規模での太陽エネルギーの有効利用には、まだ克服しなければならない多くの課題が残されています。
しかし、その課題が克服されたとき、エネルギー・環境問題の根本的な解決が実現します。